中国三大奇書

今回の企画展タイトルは「中国三大奇書の成立と受容」ですが、
この「三大奇書」という言葉、ご存知でしょうか?
実はこの言葉、辞書には載っていません。


通常、中国文学史では「四大奇書」という言葉が使われ、
三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』を指すようです。
この企画展では、成立過程の違いや、日本での受容度を考慮し、
ここから『金瓶梅』を除いたものを「三大奇書」と呼ぶことにしました。


「呼ぶことにしました」と書きましたが、全くの造語というわけではなく、
さきほど”中国三大奇書”をgoogleで検索してみたところ、622件ヒットしました。
(もちろんこの企画展のお知らせなんかもヒットしてしまいますが)
また、かろうじてウィキペディアにも記載されています。


さて、もう一つ気になる「奇書」という言葉。
同じウィキペディアの「四大奇書」の項目によると、


「奇書」とは「あやしい書物」ではなく「世に稀なほど卓越した書物」の意味。
とされています。


しかし、この「奇」という文字、私にとっては「奇妙」や「奇怪」などの言葉から
連想されるイメージがあります。
気になるので『大漢和辞典』をひいてみました。


一 ことなる。かわつてゐる。なみでない。めづらしい。
二 あやしい。不思議。
三 すぐれる。ぬきでる。
(以下略)
なるほど。三の意味ですね。でもこの字の核となる意味が一とすると、
少しは二の意味も含まれるのではないか、と勝手に想像しています。


それはさておき、今回の企画展、これまでの特別展とは趣を異とする
「奇」な展示となっています。
どうぞお楽しみに。
(Y. M.)